大正レトロな空間へ

 

文人墨客たちが愛してやまなかった耶馬渓。 あなたも100年前の旅人となれる、スペシャルな「やばけい遊覧」の旅をご案内します。

旅人がくつろいだ城下町の料亭 大正3年、中津駅が中津城近くに開業し、城下町から駅周辺には旅人を迎える料亭や旅館が軒をつらねました。

 

中津城跡

中津城下町の寺町通り

 

中津駅に降り立った旅人は、中津城に福澤諭吉の旧邸、池大雅の書画をおさめた自性寺など城下町観光を楽しんで、翌朝からの耶馬渓観光を前に料亭で豊前海の魚を堪能しました。昭和初期の観光ガイド本にも「〜共に聞こえし料亭ぞ。自慢の包丁切れ味の眞(まこと)の美味に舌鼓〜」とうたわれています。

中でも、当時の建築物がそのまま残っているのが、日本遺産構成文化財である中津市枝町の料亭「筑紫亭」です。

 

筑紫亭の玄関

江戸時代の建物を引き屋した離れ

 

明治末〜大正時代につくられた木造三階建ての風雅な建築物は国登録有形文化財となっています。複雑に入り組んだお座敷は釘を一本も使っていません。磨き込まれた廊下は、屋敷内で城下町の外堀跡をわたります。

 

波打つアンティ-クガラスの廊下

 

竹を多用した明治時代の数寄屋造のお座敷では、雪見障子越しに見えるお庭の竹が屏風のよう。茶室の障子をあければ、地をはうように低くしつらえた縁が苔むした庭へ静かにアプローチします。

 

竹と丸い柱材を用いた座敷

 

その長い時の流れの中で、訪れる人々を静かに包んできた筑紫亭。部屋にかけられた数々の文化人たちの書画は、中津の深い歴史を物語ります。酒をくみかわし歌を詠んだ旅人たちの談笑が聞こえてくるような空間です。

 

旅人が楽しんだ耶馬渓の温泉

実は耶馬渓は温泉どころ。中津から玖珠までいくつもの温泉が湧き、旅人を癒します。

 

渓流の中の温泉

 

にぎやかな温泉街のざわめきもいいけれど、時には川の音しか聞こえない、耶馬渓温泉はいかがでしょうか。大きな温泉街はありませんが、旅館にコテージ、立ち寄り湯と、中津から玖珠のあちこちに湧く温泉はぬるぬるとした美肌の湯。ぬるめのお湯がゆっくりじんわりあなたの身体をあたためます。

 

奇岩が影を落とす露天風呂

 

お湯につかって奇岩を見上げ、川中の巨石を見下ろして、緑や赤の木々の色が影を落とす自然味あふれる温泉で疲れをいやしたら、さあ明日は、どの探勝道をめぐりましょう。

 

中津から玖珠へ、玖珠から中津へ。久大線の豊後森駅や耶馬渓鉄道の線路跡に残る鉄道遺産は、当時の鉄道観光の旅へあなたをいざないます。

また、耶馬渓観光の楽しみは、地上だけではありません。八面山や競秀峰、伐株山からの眺めはまさに鳥瞰図そのもの。伐株山からではパラグライダー体験飛行で鳥瞰図の目線が楽しめます。

耶馬渓にはいくつもの探勝道がちりばめられています。大地に描かれた山水絵巻に入り込み、空から谷底から、次々と場面が展開する耶馬渓遊覧の旅をどうぞお楽しみください。